ここ10年間で終末期医療で起こった大きな変化はご存知でしょうか。とある医療行為が右肩上がりに急増しているのです。それが「胃ろう」と呼ばれるものです。胃ろうとは、直接胃に栄養を送り込む方法です。腹に直径5㎜程の穴をあけ、そこにカテーテルを固定します。

そしてそのカテーテルを通じて必要な栄養や水分胃へ送り込むというわけです。お年寄りの終末期には、何かしらの理由で物が食べられなくなるという事もあります。それは命にもかかわってくる事です。

ですので、栄養を送り込む必要があるのです。こうした場合、かつては中心静脈栄養と呼ばれる点滴による対処が一般的でした。高カロリーの点滴を胸や足の太い静脈に直接入れるのです。

それに対して胃ろうは、血管でなく胃に栄養を入れます。胃ろうのメリットは多々ありますが、その中でも大きなメリットは栄養が胃から腸へ送られ、そこで吸収されるという事でしょう。

小腸壁の絨毛は細菌などの侵入を防ぐ免疫機能がありますから、免疫力を高める事につながるのです。感染リスクを極端に減らす事になり、またお年寄りの方でも十分に管理できるというのも強み。退院もしやすくなり、医療費も点滴の5分の1。このような事から胃ろうという選択肢が台頭していったのです。