終末期医療における胃ろうという選択の増加の背景には、実は終末期医療すべてに共通する課題が横たわっているのです。胃ろうの良いところはたくさんあり、それは今日も変わらないでしょう。

ただ、どうしてもその中で疑問に感じる方もいるのです。胃ろうをされた患者の中には意識のない寝たきりの方もいます。改善されないで終わってしまうケースも決して少なくないのです。

また、そうした意識のない状態が続いた事を受けて、胃ろうを施すに至るケースもあります。要は、本人の意志とは無関係に、例えばご家族の意志によって選択され、栄養を送り続ける事ができる胃ろうという方法は、患者本人の尊厳にも触れてくる微妙な問題なのです。

事実、2006年実施の医師・看護師を対象とした調査では、多くの人が前述のような疑+問を感じていたのです。患者のご家族からも、「何もできず呼吸しているだけというのは切なすぎる」「自然に旅立つのを邪魔している心地になる」といった戸惑いや悩みの声が上がっています。